リース会計の問題児!?セール・アンド・リースバックについて
こんにちは!
そのです!
今回はリース取引の中でも
一際異彩を放っている
「セール・アンド・リースバック」
について解説したいと思います
普通のリース取引ですら
いっぱいいっぱいなのに
特殊な例なんてわからない…
そもそもなんで自分で
売ったものをそのまま
借りてくるのか
意味がわからない…
セールアンドリースバックで
このように悩んでいる人
とても多いと思います
漢字が多い財務会計の中で
いきなりカタカナが出てくるのも
苦手意識を強めてしまう要因です
しかし反対に、
これが理解できるようになると
リース取引はなんでもお手の物!
と自分の得意論点ができて
自信につながったり
特殊な例が来ても落ち着いて
問題に取り組めるようになる!
などと
応用問題への対応力があがる
ようになります
普通のリース取引にはない
特殊な考え方が出てくるので
間違ったまま覚えてしまう
ことが多い論点です
そうならないためにも
この記事を読んで
セールアンドリースバック
をマスターしちゃいましょう!
それでは
セールアンドリースバック
について解説していきます
【セールアンドリースバック】
所有する物件を貸し手に売却し
その物件を貸し手からリースを受ける
取引のことです
よって物件は売却するが
所有していた固定資産は
使い続けることができます
つまりセールアンドリースバックは
「売却することによって
資金を借り入れ、リース料として
毎年返済をしていく取引」
それでは処理の方法を
問題を解きながら解説していきます
【問題】
当決算日(×2年3月31日)における会計処理を行いなさい
当社は所有する備品を売却するとともにリースバックした(取引日:×1年4月1日)
対象資産
・前期首に取得した建物:3,300
・減価償却:定額法(6年、残存価格10%)
セールアンドリースバック取引の条件
・リース期間:3年
(減価償却:定額法(6年、当初の残存価格)
・売却価格:3,000
・リース料総額:3,600(毎年3月末に
1年分のリース料を現金で支払う)
・貸し手の計算利子率:9.701%
〈解答〉
〇売却時の仕訳
減価償却累計額 495/備品 3,300
現金 3,000/長期前受収益 195
ここで注意する点は
固定資産売却益を
長期前受収益
として計上することです
帳簿価格より195多くお金を受け取った
リース資産は貸手の
取得価格を計上します
よって当初より
固定資産が195多くなった
ことになります
つまり
その分だけ償却額が増えた
ということです
そのため売却して出た利益を
繰延処理することによって
売却益によって毎年増額した減価償却費を
相殺していく必要があります
〇リースバックの仕訳
リース資産 3,000/リース債務 3,000
リース取引では貸手の購入価格が
判明している場合その金額を
リース資産・債務として計上する
今回の場合当社の売却価格が
貸手の購入価格になります
〇リース料支払時の仕訳
リース債務 909/現金 1,200
支払利息 291/
支払利息:3,000×9.701%=291
リース債務:差額
ここは普通のリース取引と同じです
〇減価償却の仕訳
(3,000-330)÷5年=534
ここでの注意点は
当初の残存価格を用いることです
〇長期前受収益の償却の仕訳
長期前受収益 39/減価償却費 39
195÷5年=39
ここで売却したことにより増えた
減価償却費を長期前受収益で相殺
していきます
これにより減価償却費が
534-39=495
と当初の償却額に戻ります
問題はできたでしょうか
今まで出てこなかった繰延処理や
繰延処理によっての費用軽減など
他の論点にはない処理が多く
戸惑ってしまいがちな論点です
でも、ここを理解できると
複数年度にわたる費用や収益の
関係性を理解できるようになり
応用問題などに強くなります
今すぐ解かなくても大丈夫です
頭の片隅に置いといて
実際に問題に出た時に解説を
見ながら取り組んでみて下さい!
セールアンドリースバックが
どのような取引なのかを
知ってからと知らないままでは
理解のしやすさが違うと思います
ここまで読んでいただき
ありがとうございました!